【対談】リモートワーカーに本当に求められる力とは? フルリモート企業マネージャー×歴13年フリーランスが語る「現場の真実」

リモートワークは自由に働ける――。そんなイメージだけが先行しがちですが、実際には続けられずに離脱したり、成果が上がらず評価が伸び悩むケースも少なくありません。
リモートという働き方には、業務スキルだけでは補えない「見えない力」が求められるからです。
では、その力とは何なのか。現場で信頼され、自走できる人はどこが違うのか。
今回は、創業以来フルリモートを貫く株式会社プロクモのマネージャー・丸野美咲と、フリーランス歴13年で地方からリモートを続けるプロリモ講師・山﨑桃子が対談。
「発注者」と「受注者」という異なる立場から、リモートワークのリアルと、成果を出す人に共通する力を語り合います。
【対談メンバー】
丸野 美咲
株式会社プロクモ執行役員、クリエイティブチーム統括マネジャー。「プロリモ」スクール長。Webディレクターとしての経験を経て、現在は事業推進やチームマネジメントを統括。創業当初から全メンバーがフルリモートの環境において、組織運営や人材育成の仕組みづくりにも携わっている。
山﨑 桃子
「プロリモ」パーソナルライティングコース講師。2012年よりフリーランスとして活動し、取材・執筆・編集など幅広いライティング案件を手がけてきた。独立当初からリモートワークを継続し、2020年に東京から長野へ移住。自然豊かな環境で暮らしながら、持続的なリモートワークを実践している。
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【第1章】リモートワークの現実と自由の裏側

リモートワークの現状と、なぜ浸透しづらいのか
山﨑:今日は「リモートワークの現実」や「リモートワークで求められる力」について、二人で語り合っていきましょう!
私は2012年の独立当初からずっとリモートワーク状態なんです。丸野さんはキャリア初期の営業職を経て、Web業界に転職し、リモートワークに移行されたんですよね。
丸野:そうですね。私はもともと「リモートワークがしたい!」という思いでWeb業界に入りました。
というのも、夫がもともと全国転勤のある仕事だったんです。当時はまだ結婚前でしたが、いずれ結婚して転勤についていくとなれば、そのたびに私は仕事を辞めて転職することになり、キャリアが途絶えてしまうと感じていて。
「どこにいても続けられるキャリアをつくりたい」と思い、リモートワークがしやすい仕事・業界に移りたいと思うようになったんです。
山﨑:当時、周りにリモートワークをしている人っていました?
丸野:いえ、まったくいませんでした。コロナ前だったので、リモートという発想自体がまだ珍しかったんですよね。
山﨑:そうですよね、やっぱり「リモート=Web関連」のイメージでしたか?
丸野:はい。当時は「リモートで働ける仕事=プログラマー」くらいのイメージしかなくて。最初はフロントエンドエンジニアを目指しましたが、いろいろ経て、最終的にはWebディレクターに。
いくつかのスクールで学び、「未経験者OK」の会社に転職してWebディレクターとして経験を積み、プロクモに入りました。
山﨑:実際にリモートワークになって、働き方は変わりましたか?
丸野:すごく変わりました。まず、人間らしい生活ができるようになりました(笑)
紙媒体の広告営業をしていたときは出張が多かったので、いまは移動時間がない分、家で3食しっかり食べられるし、自分の時間が持てます。料理を丁寧に作ったり、湯船に浸かったり、睡眠をとったり。
「人生そのものが豊かになったな」と感じています。
山﨑:平日でも柔軟に動けるようになりますよね!
丸野:そうですね。個人的な話ですが、私はいま妊娠中で、以前は不妊治療もしていました。これもフルリモートじゃなかったら絶対に無理だったと思っていて。
というのも、不妊治療って「3日後の15時にまた来てください」みたいなことが突然言われるんです。そんな中でも「ちょっと中抜けして病院行きます」と柔軟に対応できるのは本当にありがたかったです。
今も体調が悪いときは「1時間だけ休みます」など自由に調整できるので、あらためてこの柔軟さに助けられています。
山﨑:ライフステージが変わっていく中で、あらためてリモートで働く価値を実感されているのですね。
私も、自分のペースで働ける自由さは、もう手放せない感覚があります(笑)
丸野:わかります(笑)その自由さに慣れてしまうと、もう戻れないですよね。
自由とセットで求められる「責任」の重さ
山﨑:私たちに限らず、リモートワークを希望する人の多くは「自由に働ける」ことを魅力に感じると思うんですが、なかなかリモートワークが浸透しない企業もありますよね。
ある調査では、コロナ禍で一時的にリモートワーク実施率が約56%になったものの、今はまた23%ほどに下がったと。
特に「部下の仕事の様子がわからない」など、リモート環境のマネジメントに関する不安を感じる人が多いそうです。
※出典:パーソル総合研究所「第十回・テレワークに関する調査」
実際フルリモートの会社にいる丸野さんは、マネジメントの難しさや、現実的な課題も感じていらっしゃいますか?
丸野:これはとても感じます。私は何年もフルリモートの会社で働いていますが、そもそもリモートで得られるような自由って「責任」とセットだと思うんですよね。
自由に働くには、自分の役割をしっかり果たす「責任」が必要。でも、そこを本当に担える人は決して多くなくて、なかなかリモートワークを根付かせるのは難しいのかなと思います。
ちなみに、うちの会社は「マイクロマネジメントをしない」方針なんです。「個々に役割と責任を渡すので、自走してください」という形です。
自分の裁量でスケジュールを組める自由が手に入りますが、役割を果たせない方には自由を渡すのはどうしても難しくなってしまいます。そこは信頼が前提でもあるんですよね。
山﨑:丸野さんがおっしゃる「責任」って、具体的にはどんなことを指していますか?
丸野:たとえば、プロジェクトごとの担当者が自分の領域をしっかり守ること。ディレクターなら進行管理、マーケターなら施策の運用など。「自分のミッションを果たすこと」が「責任」ですね。
ちゃんと役割を果たしてくれる方であれば細かく管理する必要がないんですけれど、逆に、そこがちょっとうまくいっていない方だとマネジメント側の確認回数が増えて、リモートでは負担が大きくなってしまう。
だから、企業側が出社を求める気持ちもわかります。
山﨑:マネジメント側には「見守る力」や「耐える力」が求められそうですね。
丸野:本当にそうなんです。「いま声をかけるべきか」「もう少し見守るべきか」その判断がとても難しいです。早すぎればメンバーの成長機会を奪うし、遅すぎればお客様に迷惑がかかる。「信じる力」も必要だと感じます。
一方、メンバー側には「信頼を積み上げる力」が求められると考えています。プロクモでは「信頼貯金」「信頼残高」という言葉をよく使うんですが、信頼って目に見えないものだからこそ、日々コツコツ積み重ねていくことが大切なんですよね。
信頼が働き方の安定をつくる理由
山﨑:その「信頼を積み上げる」という考え方、フリーランスにもすごく通じるなと思いました。信頼がなければ契約が続かないですし、組織に属するわけじゃないから「情」でカバーされることもほとんどないので。
丸野:業務委託の方だと、シンプルに「この契約はここまでで」となることも多いですもんね。最初の1〜3か月で「信頼残高をためられるかどうか」が勝負だと思います。
山﨑:最初でつまずくと、「もう次はないかも」という厳しさが…(苦笑)
丸野:でも逆に、最初の数か月で成果を出して、うちの会社の文化に合うと感じられる方とは「ずっと一緒に仕事したい!」と思います。やっぱり最初が大事ですね。
【第2章】「自走力」は何でできているのか?

リモートで成果を出せる人の思考と姿勢
山﨑:リモートワークでは「自走力が大事」という話はよく出ますが、あらためて考えるとこの言葉、ちょっと抽象的でもありますよね。
自己管理も含めて、実際にどんな自走力がリモートで求められるものなのか、詳しく話してみたいです。
丸野:私が思う「自走力のある方」は、安心して仕事をお任せできる方ですね。そして、そういう方に共通しているのは、頭を使って働いているということ。
たとえば何かわからないことがあったときに、ただ「どうすればいいですか?」と聞くのではなく、「私はこう考えたのですが、丸野さん的にはどう思いますか?」とか「このやり方で懸念点ありますか?」のように、一度自分の中で考えてから質問される方は、自走力があるなと感じます。
「言われた通りにやる」ではなく、「目的に合っているか」を意識して動ける方とも言えそうです。
山﨑:なるほど。やはり「自分の頭で考えて行動できる人」は、リモートでも活躍しやすいですよね。
丸野:そうですね。「今日は〇〇を2時間、△△を2時間やってください」といった細かな指示をしないので、自分で優先順位や進め方を判断してもらう必要があります。
「正解」よりも「最適解」を探して動き続けられる方が、自走できているなと思います。
山﨑:たしかに。もう少し広い視点で言うと、いま自分が抱えている業務が「何のためにあるのか」を考えられるかどうかも重要だなと感じました。丸野さんがおっしゃった「目的に合っているか」とも重なるかもしれませんが。
丸野:本当にそう思います。プロクモのバリューにもあるのですが、「複数のまなざしで見る」というのがすごく大事で。
お客様の視点、その先のエンドユーザーの視点…いろんな角度から「これで本当にいいのか?」を考えられるかどうか。そういう姿勢が、結果的に信頼にもつながるんですよね。
山﨑:「先回り力」とも関係しそう。これはフリーランスや業務委託で働く人にとっても、大事な力ですよね。
丸野:そうですね。ただ現実的には、納期がタイトで「まずは言われた通りに仕上げてほしい」というケースもあって…。そこでどんなふうに気を利かせてくれるか、どうやって立ち回るかも、人によってかなり差が出るポイントだなと感じますね。
そういえば、山﨑さんは「今回はご要望通りで進めるほうがいいですか? それとも提案しながら進めたほうがいいですか?」と最初に確認されますよね。それが本当にありがたくて。納品時にも「ご要望通りに仕上げましたが、この点だけ気になったのでコメントをつけています」と添えてくださる。そういう丁寧さが、信頼関係を生むんですよね。
山﨑:ありがとうございます。でも正直、こうした念入りな確認って、お仕事相手への気配りはもちろんですが、自分を守る意味もあると思っています。
フリーランスってどうしても「自己流」になりがちですが、それがトラブルにつながることもあるので。それを避けたいという気持ちは、かなり強く持っています。
丸野:ああ、ありますよね!業務委託の方とのキックオフミーティングでも、特に確認や質問をせず「大丈夫です、任せてください!」とおっしゃっていた方ほど、実際に納品物を見たときに「あれ、ちょっと違うかも…うーん、こっちの依頼の仕方がまずかったかな~」なんてなることも(苦笑)
山﨑:でもそこで「依頼の仕方が悪かったかも」とおっしゃるのが、さすがというか、丸野さんらしいなと思いました。
丸野:ディレクターとしては、基本的には伝えきれなかったこちらの責任だと思っているんです。師匠レベルの先輩ディレクターさん方から、こういう考え方を学びました。
山﨑:なるほど。このお話はすごく大事で、「伝え方ひとつで成果物が変わる」という感覚は、フリーランスも持っておくべきものだと思います。単なる作業者で終わるか、自分でキャリアを発展させられるかの分かれ目にもなる気がします。
ところで、丸野さんは「自走」と「暴走」の違いって、どう感じます?
丸野:はっきり線を引くのは難しいですが、一見自走しているように見えて、実はプロジェクトが赤字だったり、クオリティが追いついていなかったり、チームの不満がたまっていたりするケースは暴走かもしれませんね。
業務委託の方の視点だと、どうなるのでしょう?
山﨑:そうですね…たとえば自分の判断で「よかれと思って」進めたことが、実はクライアントの意向をくめていない…。それは自己満足というか、暴走の一種なのかなと思っています。
丸野:なるほど。そういう裏には「評価されたい」「よく見られたい」という思いもあるのかもしれませんね。結果的に「おせっかい」になってしまうパターンもありますね。
山﨑:プロとして、こちらからクライアントに提案することも必要とは思うのですが、やっぱり相手の希望や状況をちゃんと汲み取ることが一番大事ですよね。
丸野:ちゃんとやるべき仕事をやらずに口だけ出すと、余計に印象が悪くなりかねませんよね。「まずしっかりやってから提案してほしいな…」という場面は、正社員・業務委託に限らずあるあるな気もします。
そのさじ加減が難しいところですよね。
山﨑:これはなかなか本や講義だけで身につくものではないんですよね。実践の中で調整力を磨いていくことが必要。
そういったスキルも、プロリモの受講生さんには、実践型講座を通じて身につけていただきたいなと強く思うところです。
日常業務をスムーズに回すための工夫(タスク・スケジュール・リフレッシュ)
山﨑:ここからは、リモートワークを続けるうえでの日常の工夫について話していきましょう!
丸野さんはかなりお忙しい印象ですが、日々、どんなふうにスケジュールやタスクを管理されていますか?
丸野:私はディレクター・マネージャー職なので、常に超マルチタスク状態です(笑)
すべてのタスクをGoogleカレンダーに入れて、「いつ・何を・どれくらいの時間でやるか」を明確にしています。
たとえば、誰かに依頼したタスクは、指定した日にちに「○○さんからの返事確認」というタスクをカレンダーに入れています。 そして、その時間に返信がきているかどうか必ず確認し、必要に応じてリマインドします。期日をすべてカレンダーに入れることで、抜け漏れを防いでいますね。
この話だけで1本記事が書けるくらいのこだわりです(笑)
山﨑:すごい…!もしかして、毎日「何時から何時まで働く」や「いつ休憩する」だとかもカレンダーに入れてるんですか?
丸野:入れてます(笑)私は晩ごはんをしっかり作って食べたいので、18〜20時は中抜けにして、残業するときはその後に少しだけ。
「起きる」「身支度」といった生活のことも全部入れています。休日も「夫とごはん」「移動」とかまで(笑)超・計画派なんですよ。
山﨑:すごすぎます!それはリモートになってからの習慣ですか?
丸野:いえ、営業職時代からですね。当時、行動計画を週ごとに出す文化があって、その名残かもしれません。もう10年くらい続けているので、やらないと落ち着かなくて。
山﨑:なるほど。リフレッシュの工夫もされていますか?
丸野:そうですね、何よりもちゃんと「食べる」「休む」を意識しています。これは営業職時代に外食続きで体調を崩した経験からの反省でもあります。
そうそう、あとアラームはめちゃくちゃ活用します!たとえば、ミーティングの5分前には必ず鳴るようにしていたり。
山﨑:MTGには1分たりとも遅れない。そういう当たり前を徹底する姿勢が、信頼にもつながりますよね。
丸野:本当にそう思います。でも「当たり前」の基準って人によって違うなとも感じますね。
山﨑:たしかに…。
丸野:特に中途採用の人が多い会社だと、なおさら「当たり前基準の違い」を感じる機会が多いように思います。
山﨑:なるほど…。そして個人で働く場合だと、「何が当たり前で、何が当たり前でないのか」を誰かと比較する場面も少ないんですよね。
だから自分を律するというか、自分の「当たり前」を見直して、その基準を高めていく姿勢も大事だなと、あらためて思いました。
丸野:山﨑さんは普段どんなふうにお過ごしなんでしょう? リフレッシュ法などもありますか?
山﨑:私はライター職が長かったので、丸野さんのように「超マルチタスクで動く」というよりは、執筆など一つの作業にじっくり没頭する時間が多いタイプなんです。
なので、あまり厳密にスケジュールを決める感じではなく。どちらかというと「余白」を大事にしてきたかなと思います。
人と関わる仕事でいえば、取材やインタビューが不定期で入ってきます。ただ、これは私の特性なのですが、集中して相手の話を聞いたあとはエネルギーが切れた感じになるんですよね。
なのでリフレッシュ法は「昼寝」。部屋を暗くして刺激を遮断し、30分〜1時間ぐらい横になると回復します。これはリモートじゃなかったら無理だなあと(笑)
丸野:たしかに(笑)
山﨑:ところで、丸野さんはご自宅での仕事がメインですか? リモートワーカーはカフェなどでやる人もいますが。
丸野:ほぼ自宅です。考え事や読書はカフェでもしますが、パソコン作業は外部モニターがないと効率が落ちますし、セキュリティ面も気になりますしね。
山﨑:私もです。モニターは使っていないのですが、結局、一番集中できてはかどるのは自宅ですね。
【第3章】リモートの成否を分ける「テキストコミュニケーション力」

山﨑:ここからは「テキストコミュニケーション」についてお話ししましょう。
これ、私たちがとても大事にしている部分でもありますよね。丸野さんは、この難しさに直面することって、どういうときに多いですか?
丸野:たとえば、メッセージの意図が読み取れないときですね。「この質問ってどういう意味なんだろう」とか、「何を聞きたいんだろう?」ってなるケース。結果としてチャットのラリーが通常の倍くらいになって、「いったんミーティングしましょうか」みたいになることもあります。
他に、文面は丁寧でも内容が入り組んでいて、最後まで読まないと何を伝えたいのかわからないものとか、質問に対して答えになっていない返信がきて困るケースもありますね。
山﨑:それは、現場での「あるある」ですね…。
丸野:あと「温度感が伝わりづらい」というのも難しさのひとつだと感じます。「大丈夫です!」「承知しました!」とは書いてあるけど、本当に理解してくれているのか、どの程度把握しているのかがわからない。
そこが見えないと、結局「会って話したほうが早い」となってしまうんですよね。
山﨑:表情がわからない中で温度感を伝えるのは、なかなか難しいんですよね。あとテキストコミュニケーションって発信側の文章力に目が向きがちですけど、実際には受け手側の理解力や想像力も影響する話だと思っています。
どのくらいの背景知識を持っている相手に、何をどう伝えるのか。そこをしっかり考えずにメッセージを送ると、意図がすれ違いやすい気がします。
丸野:まさにそこです。相手の立場に立って考えられるかどうか。たとえば、時間に追われているときに要点が定まっていない長文が送られてくると、読む気力が削がれてしまうんですよね。「あ~もう読んでられない、ミーティングした方が早そう!」って(笑)
お互いの状況が見えない中で、いかに気配りしながら効率的にやり取りできるか。これがテキストコミュニケーションの難しさだと思います。
山﨑:やっぱり想像力ですよね。相手の状況を想像して、「いまこの人は会議続きで余裕がなさそうだから、短くまとめよう」とか。そういう「察する力」みたいなものがポイントになりそうです。
丸野:わかります。実際、メンバーの中にもすごく配慮してくれる方がいて。
たとえば「ミーティング続きだと思うので、合間にご確認ください。OKだったらリアクションだけください、NGならお手数ですが返信をお願いします」って書いてくれる。そういうメッセージをもらうと、本当に感動しますね。
山﨑:素敵です。そういう姿勢が「信頼貯金」につながっていくんですよね。
私がテキストコミュニケーションで大事にしているのは、「これくらいで大丈夫だろう」と勝手に思わないことです。
たとえば、クライアントワークでも形式や要望がいつもと大きく違う場合、なるべく早い段階で一度共有することも。「制作途中ですが、こんな感じで進めています。方向性合っていますか?」みたいに。
慎重すぎるかもしれませんが、これをやっておくと納品後の手戻りが格段に減るし、結果的にお互い気持ちよく仕事が進むんですよね。テキストだからこそ「お互いの本心は見えない、完全には伝わっていない」という前提で進めることが大事だと思っています。
丸野:本当そうですね。依頼側とつくる側の「共通認識を持つ」ことはすごく大事。
それにクリエイティブ系の案件だと、参考にするデザインを送るときも「どの部分を」「どのように」参考にしてほしいのかまで明確に示さないと、仕上がりがズレやすいですよね。「参考通りにやりましたけど…」ってなるのは、まさにその典型。
ただ実際には、外部の方とのやり取りよりも、社内メンバーとの日々のチャットのほうが難しいと感じる場面は多いかもしれません。
山﨑:プロクモさんでは全メンバーがフルリモートだからこその難しさもあるのでしょうね。丸野さんはどうやって乗り越えていらっしゃるんですか?
丸野:完全に乗り越えられているわけではないですが(笑)、オンボーディングの中に「テキストコミュニケーション」の項目を取り入れています。
たとえば「報告・連絡・相談のどれなのかを最初に明記しよう」「相談なら背景と意図も添えよう」「回答の期限も書こう」といった具合に、具体的なルールを提示しています。
山﨑:それだけテキストコミュニケーションを重視しているということですね!
丸野:そうなんです。ここで引っかかると、本当に業務が滞ってしまって。お客様の信頼残高を減らすことにもつながってしまうので、やっぱり一定レベルまでは全員身につけてほしいスキルだと思っています。
山﨑:プロクモさんは創業当初からずっとフルリモートでやってこられて、もう13期目(2025年9月時点)。リモートワークの知見はかなり蓄積されているのでは?
丸野:そうですね。実際まだ言語化しきれていない部分も多いですが、そのあたりも少しずつ形にしてプロリモの講座の中に入れていきたいと思っています。
【第4章】孤独と向き合いながら働くということ

見えないからこそ快適になる働き方
山﨑:最後に、リモートワークの「孤独」についてお話できたらと思います。丸野さん自身は、リモートで孤独を感じることってありますか?
丸野:うーん、正直あまりないんですよね(笑)
ただ「誰かとちょっと話したいな」って思うタイミングに、気軽に「帰りに飲みに行きません?」みたいなのができないのは、少し寂しいかもと思うことはあります。
でも、週3回のチーム朝会もありますし、「今10分だけ話せますか?」みたいな短い会話も日常的にしているので、社内で誰とも話さない日はなくて。雑談もできるし、「一人で働いている」という感覚はほとんどないです。
山﨑:なるほど!デザイナーさんやエンジニアさんなど、職種によっては会話の頻度がちょっと少なめかなと思うのですが、そういう方々はどうなのでしょう?
丸野:完全に気持ちを理解できているかはわからないのですが、そういう職種の方は職人気質な方も多いんですよね。むしろ「一人で集中できるほうが快適」と感じているような気もします。
山﨑:ああ、私もわりとそういうタイプなので、それはわかる気がします。基本は一人で進めて、取引先との打ち合わせとか、インタビューの仕事がちょこちょこあるくらいが、ちょうどいいバランスなんですよね。
丸野:私個人のことを言うと、出勤していた頃よりも余計なことを考えなくてよくなったという実感もあります。出社していたときって、「今話しかけて大丈夫かな…」「忙しそうなのに声かけちゃったかも」とか、相手の顔色をうかがう時間が多くて。
でもリモートだと、そういう「見えすぎる情報」がない分、逆に楽なんです。「知らないほうが幸せなこともあるな」と思うようになりました(笑)
山﨑:見えないからこそ、心の平穏が保たれるというか。
相手の感情や場の空気感を探りすぎて疲れてしまう人にとっては、リモートの環境ってむしろ向いているかもしれませんね。
丸野:そう思いますね。探ろうと思えばいくらでも考えられるけれど、逆に考えすぎないことができるようになった。そういう意味で、私は今のほうがずっと快適です。
成果を出すには「助けを求める力」が欠かせない理由
山﨑:もうひとつ大事なテーマが「助けを求める力」。「困ったときに自分から考えや思いを発信する力」ともいえるのかなと思います。
丸野さんもよくお話されていますが、自走力と同時に、リモートで働く場合に欠かせないスキルですよね。
たとえば業務委託の立場でも、クライアントの説明があいまいだったり、「このスケジュールでは明らかに厳しい…」と感じたりしたときに、なんとなく進めてしまわず、それをちゃんと伝えられるかどうか。これって信頼関係の構築にも直結すると思います。
丸野:本当にそうですね。「これでいいのかなと思ったんですが、いったんそのまま対応してみました」みたいなケースってよくあるんですけど、「それなら着手する前に一言聞いてくれたらよかったのに!」と思うことも。
同じチームの一員として成果を出そうと思えば、「これで大丈夫でしょうか?」とか「ここ、もう少し確認したいです」といったやりとりは自然にできるはずなんですよね。
でも、中には「どう思われるかが怖くて聞けない…」という人もいて。そこにメンタルブロックがあるのも理解できるのですが、やっぱりプロとして動く意識は持ってもらいたいなと思いますね。同時にこちら側も言いやすい雰囲気を作っておく必要があるなと思います。
山﨑:たしかに…。「どう見られるかが怖い」というのは、実はひそかに抱えている人が多い悩みかもしれません。
でも今のお話を聞いて、「お客さんのため」と考えれば自意識が弱くなるというか、相談へのハードルが下がる人もいそうだなと思いました。
丸野:それ、まさに私自身の体験でもあります!
プロクモに入ったばかりの頃は、社長や先輩にどう思われるかが気になって、行動にもブレーキをかけていました。でもあるとき「他人の目線じゃなくて、自分がどうありたいか」で考えようと思ったんです。
そうやって自分軸で動くようになった瞬間から、仕事も気持ちもすごく楽になって。今は「どこに行ってもやれる自分でいたい」という気持ちのほうがずっと強いですね。
山﨑:すごい成長のお話ですね。私もちょっと似たようなところがありました。もともとは「どう見られるか」を結構気にしがちな性格なのですが、仕事に関してはもうあまり怖くないんですよね。
それはきっと「お客さんのために何ができるか」という目的がはっきりしているから。自分の評価うんぬんの前に、相手への価値提供を軸に考えられるようになると、他人の目が怖くなくなるなって。
丸野:またずいぶん深い話になってきましたね!まさに「他人軸から自分軸へ」だと思いますが、このテーマだけでまた1時間くらい話せそう(笑)
山﨑:今度話しましょう(笑)
丸野:そしてこれからリモートで働きたい人たちが安心して第一歩を踏み出せるように。私たちも引き続き、「プロフェッショナルなリモートワーカー」の育成に力を尽くしていきたいですね!
プロリモは、「長く活躍できるフルリモート人材」を育てることを目指したスクールです。
個別指導・リアルタイム授業を軸に、テキストコミュニケーションや自走力、営業力など、リモートで働くうえで欠かせない基礎力から丁寧に育てていきます。
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